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アーカイブ用のストレージを考える

公開日:

カテゴリ: 雑記

旅行で撮影した写真や動画データでストレージ容量に限界が来たので、クラウド等を含めてアーカイブ用のストレージを比較してみます。

本記事に掲載している価格はすべて2025/06/29時点でのものです。

保存方法

とりあえず思いつくのは4パターンです。

  • 外付けストレージ方式
  • オンラインストレージサービス
  • パブリッククラウドのストレージサービス
  • その他

まずはそれぞれの特徴をおさらいします。

外付けストレージ方式

個人でバックアップといえば真っ先に思いつくであろう、個人所有の外部ストレージデバイスに保存する方式です。いわゆるUSBメモリや外付けSSD/HDDが該当します。

NASは接続方法がUSBかネットワークかの違いで、個人所有のデバイスに変わりはないため、本記事では外付けストレージ方式として扱います。

  • 紛失・盗難以外の流出リスクが無い(常時ネットワークに接続しない場合)
  • 最大容量が決まっており、追加するとデバイスが増える
  • 冗長化が高コストかつ手段が限られる

オンラインストレージサービス

ストレージ機能に特化したオンラインサービスで、ファイルのアップロードやダウンロードを行うことを主目的としたものです。いわゆるGoogle DriveやOneDrive、Dropboxなどが該当します。

  • 世代管理機能が整っていることが多い
  • 個人向けは最大容量が少ないサービスが多い
  • サービス提供者に全幅の信頼を置く必要がある

パブリッククラウドのストレージサービス

パブリッククラウドサービス内の1つのサービスとして提供されるストレージサービスのことです。クラウド内の他のサービスと組み合わせて使うことに特化していますが、オンラインストレージとして使えなくもありません。

  • アーカイブ用に低頻度アクセス向けの安価なストレージプランが存在することが多い
  • 従量課金方式で(お金さえあれば)実質容量無制限
  • ローカルとのデータのやり取りは不向き

その他サービス

細かい条件付きで無料~安価なサービスもあります。ニーズに合えば一考の余地はあるでしょう。

外付けストレージ方式

SSD

フラッシュメモリを使用した方式で、昨今のPCの内蔵ストレージに広く採用されています。使用するIFの規格にもよりますが読み書きが非常に高速です。

言わずもがなですが、磁気や衝撃に強い代わりに容量が増えるほどコストが高くなります。また高速なものほど発熱が大きく、適切な排熱をしないとサーマルスロットリングが発生し速度が強制的に抑えられます。

HDD

磁気ディスクを使用した方式で、一昔前のストレージの主流でした。今ではどちらかというと大容量に重きを置いたストレージ(筆者感)です。1TBでこそSSDと価格はあまり変わりませんが、容量に対する価格の上昇幅はSSDよりも遥かに低いです。

回転数が早いほど速度が出るため、速度が出せる製品は騒音が大きめです(それでもフラッシュメモリの速度には遠く及びません)。また個人で運用する場合は磁気や衝撃の対策問題が出てきます。総じて災害対策に限界があります。

USBメモリ

SSDと同じくフラッシュメモリを使用した方式ですが、こちらはコンパクトで持ち運びに特化したデバイスです。

基本的にSSDと同じですが、IFがUSBであるため速度は最大でもUSBの規格上の最大値までです(多くの製品は規格上の最大値より低いです)。

オンラインストレージサービス

金額は月額です。年間一括払いで安くなるサービスは年額/12の金額です。消費税について明確な記載がないものもあるため、多少金額が増加する可能性があります。

1TB以上提供しているサービスのみ記載しています。無料のサービスは大体5~15GBまでのため、ここでは扱いません。

サービス対象金額容量備考
Google One プレミアム個人¥12082TB
Google Workspace Standard法人¥16002TB
Google Workspace Plus法人¥25005TB
iCloud 2TB個人¥15002TB
iCloud 6TB個人¥45006TB
iCloud 12TB個人¥900012TB
Dropbox Plus個人¥12002TB
Dropbox Professional個人¥20003TB
Dropbox Advanced法人¥24005TB最低3ユーザー
Microsoft 365 Personal個人¥17751TBOffice付き
OneDrive for Business法人¥7491TB
Box Business法人¥1980無制限最低3ユーザー

特徴的なのはBox Businessで、3ユーザー以上の契約が必要なものの容量無制限となっています。この金額(1980 x 3 = 5940)よりも安くなるかどうかが1つのキーポイントになりそうです。ただし近年は容量無制限のサービスは縮小傾向にあるので、いつまで無制限のサービスが続くかはわかりません。

パブリッククラウドのストレージサービス

データの単位はGoogleはGiB、他はすべてGBです。日本円での記載があるサービスもありますが、米ドル基準で計算しているようなので、米ドルで比較します。

サービス場所容量単価取出単価転送単価
S3 Glacier Deep Archive東京0.002USD0.0025USD0.114USD
S3 Glacier Deep Archive米国東部0.00099USD0.0025USD0.09USD
Azure Archive東京0.002USD0.022USD0.11USD
Azure Archive米国東部0.00099USD0.02USD0.087USD
Google Cloud Archive Storage東京0.0025USD0.05USD0.12USD
Oracle Archive Storage0.0026USD0*
  • ストレージへのアップロード料金(クラウドから見た下り/インバウンド)は無料
  • 取り出しリクエストの回数に対してかかる料金は省略
  • 転送量が10TB/月を超えると単価が下がるが省略
  • S3 Glacierで取り出し時間の短い方の取出単価は0.02USD
  • S3とAzureの転送料金は最初の100GB/月は無料
  • Oracleは直接リストアできず、Object Storage経由となる(リストア時にObject Storageの料金がかかる)
  • Oracleの転送量は10TB/月まで無料、以降は0.0025USD

その他

Amazon Photos

  • Prime会員は写真のみ容量無制限
    • Amazon Photos自体は無料プランのままで容量無制限

YouTube

  • 容量制限なくアップロード可能
  • 非公開動画であってもYouTubeの公開ポリシーが適用される
    • 映り込んでいるものや入り込んでいるBGMには要注意
  • YouTube側で再エンコードがかかる
    • オリジナルデータは6ヶ月で消失
  • Googleアカウントが停止されるとすべて巻き込まれるので注意

比較

とりあえず転送量やリクエスト回数などの手数料は置いておいて、それぞれ主要なものを容量単価で比較してみます。クラウドは単位がGBなのでTBに揃えます。

方式月額年額初期費用容量
外付けSSD00¥100001TB
外付けSSD00¥400004TB
外付けHDD00¥80001TB
外付けHDD00¥120004TB
クラウド(米国)0.99USD11.88USD01TB
クラウド(日本)2USD24USD01TB
Box Business¥5940¥712800無制限

単位がドルでは比較しづらいので、とりあえず1USD = ¥150として計算します。

方式月額年額初期費用容量
外付けSSD00¥100001TB
外付けSSD00¥400004TB
外付けHDD00¥80001TB
外付けHDD00¥120004TB
クラウド(米国)¥148.5¥178201TB
クラウド(日本)¥300¥360001TB
Box Business¥5940¥712800無制限

SSDとクラウドを比較すると、アメリカリージョンで5年半程度、日本リージョンで3年弱でSSDの価格を超える計算になります。大容量のアーカイブ用途ではちょっとクラウドは高い気がします。あとは冗長化をどう捉えるかで何を選択するかが決まると思います。

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