山手線内発着の乗車券を使ってみた
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カテゴリ: 旅行
東京山手線内発着の乗車券を使ってみました。
東京山手線内って?
東京山手線内と言われると、東京の山手線と山手線の内側の中央線が思い浮かぶと思います。地理的な意味合いとしてはその通りですが、制度的な意味合いでも特殊なものがいくつかあります。
- 東京山手線内で完結する経路の運賃が安い(2026/03廃止予定)
- 東京山手線内の全線均一定期券(1箇月)が存在する(2026/03廃止予定)
- 東京山手線内を発駅または着駅とする100km以上200km未満の乗車券は以下の扱いとなる
- 発駅または着駅が東京山手線内の場合、東京山手線内のどの駅であっても東京駅が発駅または着駅とみなす
- 運賃計算や有効期間の計算に用いるキロ数も東京駅を基準とする
- 発駅または着駅の東京山手線内では途中下車が不可
- 発駅または着駅が東京山手線内の場合、東京山手線内のどの駅であっても東京駅が発駅または着駅とみなす
- 区間内の駅では駅名標に「山」マークが付く
- 必然的に東京都区内でもあるため、「山」「区」の2つのマークが付く
これだけ見ると簡単そうに見えますが、特定の区間を利用する人以外は意外と目にする機会がない制度でもあります。
1つ目の運賃は日常的にはICカードで自動計算するので、来年春の運賃改定で東京山手線内の運賃特例が廃止されることで初めて存在を知った方も多いかもしれません。2つ目の東京山手線内の全線均一定期券(1箇月)も、積極的に情報収集をしていなければ知らない人が多そうです。
3つ目の東京山手線内を発駅または着駅とする場合の特例は、実際のところ適用対象となるケースが案外多くないため、目にする機会が少なさそうです。で、この記事のメインの話は東京山手線内を発駅または着駅とする場合の特例です。
東京山手線内発着の特例を適用する
ということで、東京山手線内を発駅または着駅とする乗車券を作ってみます。
適用条件は乗車営業キロが100km以上200km未満となる区間です。200kmを超えると東京山手線内ではなく東京都区内になります。
東京駅から100km以上200km未満の主な区間は以下になります。括弧内は東京近郊区間に含まれている区間です。
- 東海道方面: (熱海~)函南~西焼津
- 中央方面: (笹子~茅野)
- 東北方面: (雀宮~)高久~泉崎
- 上越方面: (倉賀野~)湯檜曽~越後湯沢
- 常磐方面: (友部~植田)
100km以上の区間は、ごく一部の例外を除き自動券売機(緑色や黒色の券売機)では購入できません。基本的に指定席券売機で購入することになります。
さて、今回は東京山手線内発着の乗車券を作るのが目的のため、折角なので大井川方面に行ったときに購入した乗車券のように、発駅も着駅も東京山手線内にしてみようと思います。
発駅も着駅も東京山手線内の乗車券を作る
発駅も着駅も東京山手線内にする際の最大のネックは、大都市近郊区間制度にあります。大都市近郊区間内で完結する経路の運賃計算は、実乗車経路にかかわらず最安経路で運賃を計算します。そのため、東京近郊区間外を含まない限り発駅も着駅も東京山手線内の乗車券は作れません。
では、東京近郊区間外を含むように経路を組んでみます。が、100km以上200km未満の制約に合う普通の経路は存在しません。区間外を含めようとすると、200kmを超えて東京都区内になってしまいます。
ここで注目するのは新幹線は東京近郊区間に含まれないという点です。つまり乗車券の経路を新幹線経由にすることで発駅も着駅も東京山手線内にすることが可能になります。発券した乗車券は、経路によっては選択乗車で在来線を使うことも可能です。
ということで発券した乗車券がこちら。東京山手線内→(東海道新幹線)→新横浜→(横浜線)→八王子→(中央線)→東京山手線内という経路です。特急券が必要ですが、おそらく最も現実的な経路ではないでしょうか。
副案としては東京山手線内→(東北新幹線)→大宮→(川越線)→高麗川→(八高線)→八王子→(中央線)→東京山手線内という経路もあります。こちらは2640円かかりますが、特急券は不要です(合計はこっちのほうが安い)。八高線は日中1時間に2本しかないため注意しましょう。
東京・上野間もしくは東京・品川間のみを新幹線経由とすれば経路の選択肢は大幅に増えますが、指定席券売機やネット予約の検索結果には出てこないので、窓口での購入が必要になります。自分で言うのもあれですが、こんなくだらないことに人様の手を煩わせるのは忍びないので、穏便かつ安価に済ませるには上記いずれかの経路になると思います。
使ってみる
本編はここまでで、ここからは先程の乗車券を使ってみるだけの雑記です。
今回は池袋スタート。一応東京駅以外からも使えることを確認。山手線の外回りで東京駅へ向かいます。
東京駅。間違って出口の改札から外に出ると、おそらく旅行終了扱いで乗車券は自動改札機に吸い込まれていくと思います。
ここから新幹線で新横浜駅へ向かいます。今回の乗車券では選択乗車が不可能な区間のため、特定特急券を買い足します。東海道新幹線の特急券って東北新幹線側(JR東日本管理)の指定席券売機でも買えるんですね。
新横浜駅。筆者は新横浜で下車することがほぼ無いので逆に新鮮です。団体客の待ち合わせ用なのか、非常に開放感のある駅構内です。
次は横浜線へ乗り換えですが、このあたりには滅多に来ないのでちょっと寄り道をします。
開業から2年半が経過した東急・相鉄の新横浜駅。新しい駅は綺麗で気持ちいいですね。2面3線で上下共用の中線は、最近あまり見ない構造です。
その足で羽沢横浜国大駅へ。こちらは相鉄とJRの分岐駅です。もう開業から6年が経過しているんですね。
駅前の大部分はまだまだ工事中のようですが、最近(といっても約1年前)複合商業施設HAZAARがオープンしたようです。このあたりは貨物駅や高速のICが近いので、住居地域というよりは物流の拠点の風合いの方が強いですが、今後は変わっていくのでしょうか。
さて、見たいものも見たので戻ります。といっても、あとは横浜線経由で東京に戻る消化試合です。折角途中下車できる乗車券なので、降車できる全ての駅でエキタグを回収しつつ帰路につきます。この日は根岸線が強風で遅延したり途中駅で運転打ち切りになったりしているので、空き時間に散歩をしたり。
長津田駅。東急線の拠点駅の1つのようです。こどもの国線には改札が存在せず、こどもの国駅の改札のみで精算するようです。どうやら他の東急線とは別体系で、均一運賃のようです。
橋本駅。中央リニア新幹線の途中駅ができる予定で、駅西側は工事中です。
相原駅。八王子バイパスに同名のICが存在する記憶があり、小さな山越え区間に入ります。ちなみにこの駅は町田市に所在します。
八王子みなみ野駅。相原駅との間の山を越えた先にある駅で、横浜線内で最も新しい駅です。駅周辺は建物によって1階の位置が異なる傾斜地のようです。
おわり
そんなこんなで大久保駅まで到着。今回の旅(?)は完全にネタでしかないですが、東京山手線内の制度をより深く知るいいきっかけになりました。
JR東の値上げ前に・・・と考えていたのですが、今回の経路はそもそも値上げ幅の大きい電車特定区間や東京山手線内の運賃が適用されていません。さらにJR他社に跨る経路なので、現行運賃に対しての加算運賃となり、軽く調べた限りでは+80円の値上げで済むようです。まぁ安いうちに実現できて良かった、かな?
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